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不動産の取得・保有・売却時に発生する税金は?利用できる軽減措置と共に解説
不動産にまつわる税金は売却時だけではなく、取得や保有の際も発生します。
思わぬ税金負担で資金計画が崩れないように、「どのような税金がどのようなタイミングで発生するのか?」を理解し、負担を和らげる「軽減制度の確認」をしておきましょう。
※年齢は、贈与が行われた年の1月1日現在として判断する
※年齢は、贈与が行われた年の1月1日現在として判断する
なお、収入印紙の貼り忘れた場合、過怠税というペナルティが科されます。本来納めるべき印紙税額の3倍(自分から気づいて申し出た場合は1.1倍)を過怠税として納めなくてはいけません。
登録免許税の額は、どのような理由で登記をするかによって異なります。不動産に関連する主要な登記について、登録免許税額をまとめました。
(注)マイホーム等の特例要件は割愛しております。
不動産の所在地になっている地方自治体から送られてくる納税通知書を使って納めましょう。
不動産の価格×税率
①不動産の価格
不動産の価格とは、購入価格や建築工事費等の価格ではなく、原則として、不動産を取得したときの市町村の固定資産課税台帳に登録されている価格(注)です(固定資産税の課税標準額ではありません。)。
ただし、土地の取得が令和6年3月31日までの間に行われた場合については、固定資産課税台帳に登録されている価格の2分の1が課税標準額になります。
(注)家屋を新築等により取得した場合は、固定資産課税台帳に登録価格がないため、都道府県が取得時の価格を決定します。
②税率
ここでは、土地を購入し、マイホームを建築する場合の軽減に絞ってご紹介します。
①住宅(建物)
(不動産の価格―控除額)×税率
※控除額は都道府県によっても異なるため、必ず管轄の自治体のWebサイトを確認ください
②住宅用土地
当初税額-減額額=税額
(注1)宅地に係る軽減が適用されている場合は、その軽減を適用した後の土地1㎡当たりの価格となります。
(注2)1戸につき算出した面積が200㎡を超える場合は、200㎡を限度とします。
不動産の購入にあたっては、以下のことを覚えておきましょう。
(1)建物の場合
・業者からの購入、新築を建築した場合⇒課税
・業者以外からの購入⇒非課税
(2)土地の場合
購入先が業者か否かは問わず消費税は非課税
● 認定長期優良住宅や認定低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅を新築した、もしくは使用されたことのない長期優良住宅を取得した
● 2023年12月31日までに住み始めた
ただし、住宅ローン減税と併用はできないため、どちらか一方を選ぶことになる点に注意してください。
(特例の内容)
・床面積120㎡以下の部分の固定資産税が2分の1に軽減
・軽減期間
⇒3階建て以上の中高層耐火住宅(マンションなど):5年
⇒上記以外の住宅:3年
⇒3階建て以上の中高層耐火住宅(マンションなど)で長期優良住宅:7年
⇒上記以外の長期優良住宅:5年
(特例の内容)
・小規模宅地用地(住宅1戸につき200㎡以下の部分)=固定資産税評価額×1/6
・一般住宅用地(住宅1戸につき200㎡を超える部分)=固定資産税評価額×1/3
税額は所有する固定資産の評価額に税率(上限0.3%)をかけて求めます。
(特例の内容)
・小規模宅地用地(住宅1戸につき200㎡以下の部分)=固定資産税評価額×1/3
・一般住宅用地(住宅1戸につき200㎡を超える部分)=固定資産税評価額×2/3
不動産を売却したときにかかる税金
不動産を売却し、利益が出た場合は、その部分に対し所得税、住民税、復興特別所得税がかかります。ただし、所有期間が5年以下の場合、5年を超えている場合と比べ税率がかなり高くなります。
※譲渡した年の1月1日時点を基準に判断する
なお、国に納めるのが所得税と復興特別所得税、地方自治体に納めるのが住民税です。
3,000万円控除
マイホームを売った場合は、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる制度です。譲渡所得が減るため、結果として所得税や住民税を減らせます。
特定の居住用財産の買換え特例
一定の要件のもと、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができる制度です。令和5(2023)年12月31日までに、所有期間が10年を超えるなど一定の条件を満たすマイホームを売って、代わりの家に住み替えた場合に利用できます。
売却損に対する居住用の特例
一定の要件を満たせばその譲渡損失をその年の給与所得や事業所得など他の所得から控除(損益通算)できる制度です。マイホームの売却時に譲渡損失が生じた場合に利用できます。
なお、損益通算を行っても控除しきれない場合は、譲渡の年の翌年以後3年内に繰り越して控除(繰越控除)が可能です。
ここで紹介した税金、軽減措置のうち、自分たちの場合は何がかかり、また、どんな制度が使えるのかは、購入を検討する際にその都度確認しましょう。わからない場合は、不動産仲介会社の担当者や税理士に質問し、その場で解決することをおすすめします。
思わぬ税金負担で資金計画が崩れないように、「どのような税金がどのようなタイミングで発生するのか?」を理解し、負担を和らげる「軽減制度の確認」をしておきましょう。
不動産を取得するときにかかる税金と軽減措置
最初に、不動産を取得するときにかかる税金と軽減措置について解説します。■ 不動産を取得するときにかかる税金1「贈与税」
不動産を無償で譲り受けたなど、贈与により財産を取得したときに発生する税金です。 なお、贈与税の課税方法には暦年課税と相続時精算課税の2つがあります。違いをまとめました。
相続時精算課税制度と暦年課税の比較 / 現行
項目 | 相続時精算課税 | 暦年課税 |
---|---|---|
贈与者の要件 | 60歳※以上の両親または祖父母等 | 誰でも可 |
受贈者の要件 | 18歳※以上 | なし (何歳でも可) |
贈与時に課税されない限度額 | 贈与者ごとの累計 生涯2,500万円 |
受贈者あたり 毎年110万円 |
控除額以下の贈与税の申告 | 必要 | 不要 |
控除額超の税率 | 一律20% | 超過累進税率 (10%~55%) |
相続税の課税対象となる贈与財産 | すべての贈与財産 (贈与時の価額) |
相続又は遺贈により財産を取得したもののうち、相続開始前3年内に贈与した財産 (贈与時の価額) |
改正案(2024年1月1日の贈与から)
項目 | 相続時精算課税 | 暦年課税 |
---|---|---|
贈与者の要件 | ※以上の両親または祖父母等 | なし 相手が誰でも可 |
受贈者の要件 | 18歳※以上 | なし (何歳でも可) |
贈与時に課税されない限度額 | 毎年110万円および毎年110万円を超えた部分については生涯2,500万円 | 受贈者あたり 毎年110万円 |
控除額以下の贈与税の申告 | 毎年110万円以下の贈与は不要 | 不要 |
控除額超の税率 | 一律20% | 超過累進税率 (10%~55%) |
相続税の課税対象となる 贈与財産 |
すべての贈与財産 (贈与時の価額) |
相続又は遺贈により財産を取得したもののうち、相続開始前3年内に贈与した財産 (贈与時の価額) |
■ 不動産を取得するときにかかる税金2 「印紙税」
印紙税とは、一定の課税文書に課税される税金のことです。不動産を取得する際には売買契約書を取り交わしますが、その契約書に契約金額に応じた収入印紙を貼った上で消印して納付します。なお、収入印紙の貼り忘れた場合、過怠税というペナルティが科されます。本来納めるべき印紙税額の3倍(自分から気づいて申し出た場合は1.1倍)を過怠税として納めなくてはいけません。
■ 不動産を取得するときにかかる税金3 「登録免許税」
登録免許税とは、登記手続きを行う際に国に納める税金のことです。不動産を自分の名義に変更したり、住宅ローンの抵当権を設定する場合、登記手続きが必要となります。登録免許税の額は、どのような理由で登記をするかによって異なります。不動産に関連する主要な登記について、登録免許税額をまとめました。
登録免許税の税率
登記の原因 | 原則税率 | マイホーム等の特例 |
---|---|---|
建物などの所有権の保存登記 | 4/1,000 | 1.5/1,000 |
建物の購入による所有権の移転登記 | 20/1,000 | 3/1,000 |
住宅ローンなどの抵当権の設定登記 | 4/1,000 | 1/1,000 |
土地の売買による所有権の移転登記 | 20/1,000 | 15/1,000 |
■ 不動産を取得するときにかかる税金4 「不動産取得税」
不動産取得税とは、不動産を取得した際に、取得した人が納める税金です。不動産の所在地になっている地方自治体から送られてくる納税通知書を使って納めましょう。
(1)原則
不動産の価格×税率
①不動産の価格
不動産の価格とは、購入価格や建築工事費等の価格ではなく、原則として、不動産を取得したときの市町村の固定資産課税台帳に登録されている価格(注)です(固定資産税の課税標準額ではありません。)。
ただし、土地の取得が令和6年3月31日までの間に行われた場合については、固定資産課税台帳に登録されている価格の2分の1が課税標準額になります。
(注)家屋を新築等により取得した場合は、固定資産課税台帳に登録価格がないため、都道府県が取得時の価格を決定します。
②税率
取得日 | 土地 | 家屋 (住宅) |
家屋 (非住宅) |
---|---|---|---|
平成20年4月1日から令和6年3月31日まで | 3/100 | 3/100 | 4/100 |
(2)軽減措置
建築したマイホームや購入した土地が下記に該当した場合は不動産取得税が軽減されます。ここでは、土地を購入し、マイホームを建築する場合の軽減に絞ってご紹介します。
①住宅(建物)
(不動産の価格―控除額)×税率
適用される場合 | 控除される額(1戸につき) | |
---|---|---|
新築住宅 | 住宅の床面積が50㎡以上240㎡以下であるものをいいます。 ※床面積は、現況の床面積で判定します。 |
1,200万円(最高額) |
上記のうち、平成21年6月4日から令和6年3月31日までの間に、長期優良住宅の普及の促進に関する法律に規定する認定長期優良住宅を新築の認定長期優良住宅を購入した場合 | 1,300万円(最高額) |
②住宅用土地
当初税額-減額額=税額
適用される場合 | 控除される額 | |
---|---|---|
新築 住宅用 の土地 |
1 土地の取得後3年以内(令和6年3月31日までの取得に限ります。)に、その土地の上に特例適用住宅が新築された場合 (ただし、次のいずれかの場合に限ります。) ア 土地を取得した者がその土地を特例適用住宅の新築の時まで引き続き所有している場合 イ 土地を取得した者がその土地を譲渡等しており、直接その土地の譲渡等を受けた者により、特例適用住宅が新築された場合。 |
a 45,000円 b 土地1㎡当たりの価格(注1)×住宅の床面積×2(注2)×3% 上記 a、b のどちらか高い方の額が土地の税額から減額されます。 |
(注2)1戸につき算出した面積が200㎡を超える場合は、200㎡を限度とします。
■ 不動産を取得するときにかかる税金5 「消費税」
一般的な買い物と同じように、不動産を購入する時にも消費税が発生する場合があります。不動産の購入にあたっては、以下のことを覚えておきましょう。
(1)建物の場合
・業者からの購入、新築を建築した場合⇒課税
・業者以外からの購入⇒非課税
(2)土地の場合
購入先が業者か否かは問わず消費税は非課税
不動産を取得するときに使える軽減措置
不動産を取得するときに住宅ローンを利用したり、一定の要件を満たす住宅を購入した場合には、以下の軽減措置を使って所得税・住民税が節税できます。条件に当てはまる場合は活用しましょう。住宅ローン減税
住宅ローン減税とは、個人が住宅ローンを使って不動産を購入した場合、所得税の控除が受けられる制度です。所得税から控除しきれない場合は、翌年度の住民税からも控除できます。新築住宅を買った場合はもちろん、中古住宅を購入したり、リフォームする場合にも一定の条件を満たせば利用可能です。住宅投資減税
以下の2つの条件を満たせば、原則としてその年分の所得税額から最高65万円(控除率10%)を控除できる制度です。● 認定長期優良住宅や認定低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅を新築した、もしくは使用されたことのない長期優良住宅を取得した
● 2023年12月31日までに住み始めた
ただし、住宅ローン減税と併用はできないため、どちらか一方を選ぶことになる点に注意してください。
不動産を所有しているときにかかる税金と軽減措置
次に、建てた家に住んでいるなど、不動産を所有しているときにかかる税金と軽減措置について解説します。■ 不動産を所有しているときにかかる税金1 「固定資産税」
固定資産税とは、土地・家屋などの固定資産を保有している人が、地方自治体に対し納める税金のことです。税額は所有する固定資産の評価額に標準税率(1.4%)をかけて求めます。ただし、地方自治体によっては1.6%など、標準税率とは異なるケースもあるので注意してください。建物
新築住宅の建物に関しては「新築住宅の税額軽減の特例」が設けられています。(特例の内容)
・床面積120㎡以下の部分の固定資産税が2分の1に軽減
・軽減期間
⇒3階建て以上の中高層耐火住宅(マンションなど):5年
⇒上記以外の住宅:3年
⇒3階建て以上の中高層耐火住宅(マンションなど)で長期優良住宅:7年
⇒上記以外の長期優良住宅:5年
土地
住宅の敷地に関しては、「住宅用地の課税標準の特例」が設けられています。(特例の内容)
・小規模宅地用地(住宅1戸につき200㎡以下の部分)=固定資産税評価額×1/6
・一般住宅用地(住宅1戸につき200㎡を超える部分)=固定資産税評価額×1/3
■ 不動産を所有しているときにかかる税金2 「都市計画税」
都市計画税とは、市街化区域内の土地や家屋を所有している人に対して課される税金です。税額は所有する固定資産の評価額に税率(上限0.3%)をかけて求めます。
土地
住宅の敷地に関しては、「住宅用地の課税標準の特例」が設けられています。(特例の内容)
・小規模宅地用地(住宅1戸につき200㎡以下の部分)=固定資産税評価額×1/3
・一般住宅用地(住宅1戸につき200㎡を超える部分)=固定資産税評価額×2/3
■ 不動産を保有しているときに利用できる軽減措置
所有している一戸建てなどの不動産に対し、耐震改修、バリアフリー、省エネ、同居対応、長期優良住宅リフォームなど一定の条件を満たしたリフォームを行った場合、所得税の税額控除や固定資産税の減額措置を受けることができます。売却したときにかかる税金と軽減措置
最後に、不動産を売却したときにかかる税金と軽減措置について解説します。不動産を売却したときにかかる税金
不動産を売却し、利益が出た場合は、その部分に対し所得税、住民税、復興特別所得税がかかります。ただし、所有期間が5年以下の場合、5年を超えている場合と比べ税率がかなり高くなります。
短期譲渡所得と長期譲渡所得
項目 | 所有期間 | 所得税 | 復興特別 所得税 |
住民税 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|
短期譲渡 所得 |
5年以下の場合※ | 30% | 0.63% | 9% | 39.63% |
長期譲渡 所得 |
5年超の場合※ | 15% | 0.315% | 5% | 20.315% |
なお、国に納めるのが所得税と復興特別所得税、地方自治体に納めるのが住民税です。
不動産を売却したときに使える税金の軽減措置
不動産を売却したときに使える税金の軽減措置を紹介します。3,000万円控除
マイホームを売った場合は、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる制度です。譲渡所得が減るため、結果として所得税や住民税を減らせます。
特定の居住用財産の買換え特例
一定の要件のもと、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができる制度です。令和5(2023)年12月31日までに、所有期間が10年を超えるなど一定の条件を満たすマイホームを売って、代わりの家に住み替えた場合に利用できます。
売却損に対する居住用の特例
一定の要件を満たせばその譲渡損失をその年の給与所得や事業所得など他の所得から控除(損益通算)できる制度です。マイホームの売却時に譲渡損失が生じた場合に利用できます。
なお、損益通算を行っても控除しきれない場合は、譲渡の年の翌年以後3年内に繰り越して控除(繰越控除)が可能です。
不動産に関する税金が分からない場合は確認必須
本記事で解説した内容は、ごく基本的な事項です。その上、現状では利用できる期限が限られている軽減措置もあります。税金や軽減措置は、毎年のように細かい改正が加えられているため、常に最新の情報を仕入れることが重要です。ここで紹介した税金、軽減措置のうち、自分たちの場合は何がかかり、また、どんな制度が使えるのかは、購入を検討する際にその都度確認しましょう。わからない場合は、不動産仲介会社の担当者や税理士に質問し、その場で解決することをおすすめします。
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