はじめに|価格上昇の中でも「今が建て時」と考える顧客がいる
前回のコラムでは、2024年に施行された「物流関連二法(物流総合効率化法、貨物自動車運送事業法)の改正」や、2025年6月から義務化される「熱中症対策の強化」など、法制度の変化によって建築にかかるコストが高騰し、その影響が顧客の購買行動や意思決定にまで及んでいる現状を取り上げました。今後も働き方改革、安全基準の強化、環境規制といった社会の変化に伴い、今後も業務運営を制約する法改正が続くと予想され、建築費の間接的な上昇は避けられないでしょう。
こうした価格上昇により、注文住宅を検討する顧客の購買意欲は抑制され、注文住宅の着工戸数の減少傾向が今後も続くことが懸念されると思われがちですが、一方で最近の調査では、こうした“価格上昇”の状況が逆に、「今が建て時」と判断している顧客が注文住宅検討者全体の30%いることが分かっています。
こうした顧客は、建築費や金利などの上昇を懸念しながらも、家を建てることを先延ばしするリスクを感じているのです。
本コラムでは、こうした逆風の中で顧客が“今が建て時”と判断する理由を探り、その背後にある思考や行動の傾向を紐解きます。
さらに、価格の上昇傾向の中、ハウスメーカーや工務店が顧客に対しどのようにアプローチすべきか、営業現場で活用できるヒントもあわせてご紹介します。
注文住宅検討者の3人に1人が、価格上昇を理由に「今が建て時」と判断
2024年に発表された「注文住宅動向・トレンド調査」によると、注文住宅を今後も価格が上昇するという理由で「今が建て時だ」と前向きに検討する顧客は全体の約30%以上にのぼり、つまり、3人に1人が「今が建て時だ」と考えていることになります。同調査では、注文住宅を検討している人の中で、「今が建て時だと思う理由」として、「今後は建築費がさらに上がると思うから」(33.5%)が最も多く挙げられました。 これは、「金利が上がるから」(26.4%)や「土地代が上がるから」(22.6%)といった他の理由を上回る結果となっています。
この事実は、建築費の上昇が単なる購買意欲の“ブレーキ”になるだけでなく、「今すぐ動くべきだ」という行動の“アクセル”としても機能し得ることを示唆しています。
つまり顧客が感じている危機感を、上手に利用し、行動のアクセルとして利用することが重要なのです。
だからこそ、ハウスメーカーや工務店の営業担当者は、「今後さらに建築費が上昇する見通し」であることを顧客に理解していただく必要があり、前回のコラムで紹介したような、直近の法改正や業界の変化と見通しをを具体的に伝え、顧客にアクセルを踏ませる必要があります。
企業側に求められる3つのアプロ―チ
注文住宅の価格上昇や金利の不透明感が強まる中で、ハウスメーカーや工務店が顧客に「今こそ建てるべき」と納得してもらうには3つのアプローチが必要です。まず、価格上昇の論理的根拠を明示し、次に資金計画での納得感の醸成、最後に顧客の不安解消というこれら三つの要素を組み合わせたアプローチが求められます。
① 「今建てる意味」を、論理的根拠をもって明確に示す
顧客の多くは「建築費が今後上がる」「金利も不透明」と感じていますが、それが“今動くべき理由”だと整理できていない人も多いのが現実です。だからこそ、顧客が持つ漠然とした危機感を具体的な行動へと転換させるため、法改正や業界制度の変化を根拠とした論理的な説明が不可欠です。
たとえば、次のような説明が有効です。
「今後、物流関連法改正や熱中症対策義務化が、さらに資材費や施工費などに影響を与え、建築費のさらなる上昇が予想されます。また、現在適用できる補助金や減税制度もいつまで適用されるかは不透明です。こうした背景を踏まえると、将来的な建築費上昇を見越し、今が注文住宅を建てるベストなタイミングだと考えることができます。」
このように、具体的な根拠に基づいた説明は、顧客の漠然とした不安を「納得感」に変え、前向きな意思決定を後押しする有効な手段となります。
② 資金計画での納得感の醸成
建築費や物流費、土地価格などの上昇が避けられない現在、顧客が求めているのは「価格の安さ」そのものではなく、“この価格で建てることに納得できるか”という「価格に対する納得感」です。価格に対する納得感を顧客が得るためには、ハウスメーカー・工務店側が、単なる“価格を下げる”という発想ではなく、“価値を最適化する”という視点で顧客に向き合う必要があります。
そのうえで、無制限のプラン提案や補助金・減税制度の最大活用など、具体的な提案を通じて顧客の理解と納得を得ることが重要です。
③ 購入タイミングへの不安解消
顧客が購入に踏み切れない理由として多いのが、「今買うのは早すぎるかもしれない」「今後価格が下がるかもしれない」といった“今買うと損をするかもしれない”という不安です。このような顧客心理に対して、建築費・資材価格の最新動向の共有、今後の税制・補助金の変更点、成約から引き渡しまでの明確なタイムライン提示などを通じて、「今購入する方が合理的で、お得だ」と顧客自身が納得できる判断材料を提供することが重要です。
まとめ|“価格上昇時代”こそ、営業の質とDXが差を生む
建築費・土地価格・金利など、あらゆるコストが上昇する中顧客に対して「なぜ今建てるべきか」「この価格に納得できるか」を伝えることは、顧客の決断を後押しするために重要な営業活動です。注文住宅はもともと建売住宅に比べて価格が高めに設定されているため、資材費や工事費、安全対策にかかる追加コストが加わることで、「当初の予算内に収まらない」というケースが増加しています。
しかし、このような営業活動を注力して行う際に、営業現場で直面する大きな課題が、営業担当者の工数やスキルの限界です。
実際には、限られた時間の中で情報提供・資金提案・行動促進までをすべて対応しなければならず、すべてを対応するのは現実的ではありません。
そこで今、求められているのが営業活動の効率化を支える営業DXです。
DXによる営業活動の効率化を図ることで、営業担当者の負担を減らしながら、「今が建て時」であることを説得力をもって伝えられる環境を実現できます。
FREEDOM X株式会社では、こうした法改正制度への対応を単なる事務作業と捉えず、営業支援・業務改善・組織強化を通じた経営価値の向上と位置づけ、支援しています。
今後の制度対応・利益確保・お客様への提案に不安がある場合は、注文建築業界に特化したコンサルティングに強みを持つ当社に、ぜひ一度ご相談ください。
注文建築事業の
経営課題でお困りなら今すぐ
お問い合わせください
サービスに関するご相談・お見積もりなど、
随時受け付けております。
まずはお気軽にお問い合わせください。