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都市再開発プロジェクトの進展が住宅営業に与える影響と実務対応

コラム

はじめに|再開発の動きと住宅営業の距離感

現在、日本では都市部を中心に大規模な再開発が進んでいます。

これらの動きは街の活性化や利便性を高め、将来の住宅需要を押し上げる要因として期待されています。


しかし、その一方で、すべての再開発が計画通りに進むわけではありません。

建設資材や人件費の高騰を背景に、23年7月に閉館した中野サンプラザの建替え計画が白紙となったように※1、採算性の悪化によって見直しや縮小、そして中止を余儀なくされるケースも出てきました。


こうした都市再開発の動向は、住宅営業の現場にとっても無関係ではありません。

本稿では、その要因や課題を整理し、営業活動の実務にどう落とし込めるかを考えていきます。

1.都市再開発の動向と外的要因

都市再開発が止まったり縮小したりする背景には、現場を直撃するコスト構造があります。


鉄鋼材価格は前年比で20%を超える上昇※3、人件費も右肩上がり、さらに地価上昇が加わり「計画を進めたくても採算が取れない」状況が顕在化しています。


結果として、採算性を理由に計画中止や延期に追い込まれる事例は全国に広がっています。

2.建築業界全体に生じる構造的課題

そして外的要因に加え、建築業界全体が抱える課題も取り巻いています。


まず、人手不足の深刻化です。

帝国データバンクの調査では、建設業者の約7割が職人不足を実感していると報告されています※4。


次に、資材価格の高騰です。

中規模程度のビル建設においても想定より10〜15%のコスト増が生じるケースが確認されており※5、住宅建設でもこの影響は避けられません。


さらに、2024年の建設業倒産件数は前年同月比で約30%増加※6。

特に中小事業者は、コストと人員不足が同時に押し寄せる中で、資金繰りに苦しむリスクが高まっています。

3.営業活動に表れる課題

営業現場では、1章・2章で触れた外部要因や業界課題を背景として、お客様の「不安」や「判断の迷い」として現れます。

ここからは、営業担当が日常的に直面しやすい課題を整理していきます。


・顧客からの工期・コストに関する不安の増加。

資材価格の変動や再開発に伴う需要の偏りにより、「契約後に条件が変わるのではないか」という声が商談の中で出やすくなっています。


・資材調達や協力会社に関する確認の増加。

顧客は施工リスクを敏感に気にするようになり、「どのように仕入れや協力体制を整えているのか」を質問される場面が増えています。


・価格以外の要素への関心の高まり。

単に「安いか高いか」だけでなく、追加費用の発生リスクや将来のメンテナンスコストまで含めて判断する傾向が強まっています。



これらはすべて、営業担当者が日常の商談で直面する“具体的な課題”です。

次章では、こうした課題を実務フローにどう落とし込むかについて考えていきます。

4.実務で落とし込む営業フロー

前章で整理した課題に対して、営業担当者はフロー全体を通じて対応策を組み込む必要があります。

以下の3つは、その実務的なポイントです。


・情報提供のタイミングを設計する。

再開発ニュースや資材市況の情報を、定期的に顧客へ提供することで、商談の下地をつくる。

後から説明するのではなく、先に共有しておくことが商談の進めやすさにつながります。


・商談資料にリスク要素を組み込む。

初回提案時から、資材高騰や工期延長のシナリオを織り込んだ見積もりを提示する。

シミュレーションツールなどを活用しながら、複数パターンを並べて示すことで、変動に備えた提案であることを理解してもらえます。


・着工、調達の工夫を伝える。

着工時期を早める、仕入れ先を複数確保するなど、実際のリスク回避策を説明に含める。

行動として示せる工夫が、顧客の判断を後押しします。



このように、課題を抽象的に語るのではなく、営業プロセスに組み込むことが重要です。

続く章では、さらに中長期的な視点から、業界全体の対応の方向性を考えていきます。

5.中長期的な展望と業界対応

しかし一方で、都市再開発の動きは今後も続き、それに伴い人材や資材不足は慢性的に発生すると予測されます。


こうした状況を乗り越えるには、業界全体での効率化と省人化が欠かせません。

プレファブ工法やBIM導入は工期短縮とコスト抑制につながり、中小企業同士の協同組合による資材共同仕入れも実際に進んでいます※7。


つまり、中長期的には『変動を前提にした仕組み化』が生き残りの鍵になります。


まとめ|都市再開発と営業現場をつなぐ視点


都市再開発の進展や見直しは、業界全体の課題と重なり合いながら、住宅営業の現場に直結するテーマとなっています。

工期やコストの揺らぎを背景に顧客が抱える不安は増していますが、それを的確に整理し、商談フローに織り込むことが営業担当者の役割です。

さらに、中長期的には効率化や連携を見据えた業界対応が欠かせません。

都市再開発を「外部環境のニュース」にとどめず、営業活動の中で“顧客との対話に活かすテーマ”として扱えるかどうかが、これからの現場に問われています。


 



<出典元>

  • ※1:不動産ニュース(2024)「中野サンプラザ建替え計画、コスト高騰で白紙」
  • ※2:住宅新報(2024)「東京・大阪の再開発、規模縮小や延期相次ぐ」
  • ※3:日本経済新聞(2024)「鉄鋼材価格、前年比20%上昇」
  • ※4:帝国データバンク(2024)「建設業の人手不足実態調査」
  • ※5:建設通信新聞(2024)「中規模ビル建設コストの上昇」
  • ※6:東京商工リサーチ(2024)「建設業の倒産件数、前年比30%増」
  • ※7:住宅産業新聞(2024)「工務店協同組合による資材共同仕入れ事例」


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